再チャレンジのシステム持つNPO
秋田NPO法人「蜘蛛の糸」理事長  佐藤 久男

 
kumonoito

 私は「再チャレンジ東京」とは、ふしぎな御縁を感じております。実は清水洋先生とは、お会いした時に私の本『死んではいけない』を読んでいただいて感銘されたと伺いました。また私は月刊誌『潮』の2007年4月号に紹介され、それで平林事務局長とも御縁が生じました。
 私は2000年10月2日まで、秋田県で4社を経営しておりました。ところが県内でも不動産会社としては3割のシェアを占め、売上高も15億円規模、社員数37名の会社が倒産してしまいました。倒産によって、自宅、会社、預金、車、大切にしていた蔵書だけでなく、私の信用、名誉、プライドまで失いました。
 倒産以前から鬱病に罹り、幻覚・幻聴・フラッシュバックに悩まされ、衝動的に桜の梢で首を吊っている自分の姿が見えました。倒産して1年半、勝海舟の本を読んだりして、じっと我慢している間に知人の経営者が自殺しました。人間は寂しいものです。2002年6月、私は「これ以上、仲間を死なせたくない」との思いから、NPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げ、経営者と家族の自殺防止活動を始めたのです。
 今、日本の中小企業経営者と商店主が求めているものは、挫折した経営者を再起させるNPO法人の存在と再チャレンジのシステムだと思います。その意味で「再チャレンジ東京」の設立は、まことに時機を得たものと考えます。
 国や地方公共団体にも倒産後の相談を受ける機関は多く存在しますが、この「再チャレンジ東京」は、より実務的であること、より実践力があることが公的機関とは違っていると思います。当法人は、著名な弁護士や、企業再生の豊富な体験の実務者を擁した専門家集団です。法人内に日本を代表するコンサルタント清水洋先生がいることは、全国の中小企業にとって心強い。この法人の活動が全国の中小企業経営者に再チャレンジへの夢と、疲弊した地域経済に活力を与えてくれるものと信じます。

前ページへ戻る