taitoru


 NPO法人「再チャレンジ東京」が公募した
「いじめ・自殺防止マンガ」コンペ入賞作品を5編収録。
作者のそれぞれの想いが反映された5つの「命」のストーリーです。
今、身近で起こっている、いじめ・自殺・引きこもりの現実を
あなたの目で確かめてみませんか。

「ナイフと毛布と私」
作・画・遠藤倫子
おとなしい仲良しの子をいじめたこと、自殺した子の気持ちに全く気づけなかったこと。その母親に慰めの言葉もかけられなかったこ
と…、そんな悔恨がナイフのように心を抉る。作者の自己体験をまとめたのか丁寧な画風が秀逸な佳作。
nife
「負のスパイラル」
作・画 大塚悦子
許し難い家族の会話や隣近所の冷ややかな声…絡め取られるように堕ちて行く様はまさに負のスパイラル。現実にありそうなシチュエーションの中、いじめる側を主人公とした設定にドキッとさせられる。
supiral
「ツボミの花」
作・画/ましろ(ペンネーム)
4人のいじめられっ子に、すでに自殺で命を落とした女の子が自殺防止を訴えるという筋書きで表題のテーマに全力でぶつかってきた快作。いじめの典型的なパターンが羅列されて同じ悩みを持つ子等の心に訴えかける。
tubomi
「二人だけのオフ会」
作・画/熊谷武洋
スマホのやりとりで、時間経過や二人の関係を表わす現代的な作品。自殺を目前にしている少女とその子を励ますRINEで知り合った少女。二人が醸し出す簡素だが理解し合える時空間が希望を感じさせ、清々しい。
「BKN800×2」
作・画/めんどぅーさ(ペンネーム)
人魚を食したために800年生き続ける羽目になった尼さんが主人公。いじめられっ子、いじめっ子、尼、事業に失敗した父親など、愛別離苦、生老病死に始まる人間社会をナマ温かな(?)目線で見守る。4コマ展開のストーリー作りが巧みだ。
BKN800
松本零士  

「善」のスパイラルへの
発展が確信できる5作品

選考委員長 松本零士

 コミュニケーション・ツールの急速な発達と反比例して、人と人とのつながりが希薄になってしまった社会は、いじめ、自殺の問題を生み出してしまった。これらにストップをかけようと、懸賞つきの漫画を公募して運動を推進するNPO法人「再チャレンジ東京」の存在は、希望の光だ。大半の応募作品には作者自身の体験が投影されていて、投稿という行為自体が、自らの命の救済でもあったと思うし、読む人の命をも救済して、善のスパイラルに発展することを確信する。

 

全140P・B5判、無線綴じ
本文モノクロ
定価1,000円(税込)

 

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